歯周病と早産の関係性 ~歯原性菌血症について~
歯周病は歯茎に炎症をもたらしたり、顎の骨を溶かしたりする病気ですが、重症化することで早産や低体重児出産を招くことがあります。一見すると、何ら関係のないものに見えますが、そこには科学的な裏付けのある関係性が存在しているのです。今回はそんな歯周病と早産・低体重児出産との関連について詳しく解説します。
▼繁殖した歯周病菌が全身へと広がっていく
軽度や中等度の歯周病であれば、歯周病菌もそれほど多くは繁殖していません。歯垢や歯石、歯周ポケット内にとどまっているのが普通です。それが重症化するにつれ、歯周病菌の繁殖が進むと、血管へと侵入して全身へと巡っていく(歯原性菌血症)ことがあるのです。これが歯周病によって全身疾患のリスクが上昇する主な原因です。
▼歯周病が子宮に与える悪影響
歯周病菌の死骸や産生した物質、身体から分泌された炎症性物質などが子宮へと到達すると、子宮においても炎症反応などが生じることがあります。これは妊娠中の女性にとってはとても深刻な問題で、場合によっては早く胎児を身体の外に出すように刺激してしまうことがあるのです。その結果生じるのが早産や低体重児出産です。予定よりも早く出産してしまうことから、生まれてきた赤ちゃんにもさまざまな異常が認められることが多いです。
▼「たかが歯周病」とは考えない
歯周病は、日本人の8割以上がかかっているともいわれている国民病で、軽度の人もたくさんいらっしゃいます。また、痛みなどの症状が現れにくい病気どもあることから「たかが歯周病」と思われがちなのですが、重症化することで出産の異常など、深刻なトラブルを引き起こすこともあります。脳卒中や心疾患なども誘発しやすいことから、すべての人が注意すべき病気といえます。
▼まとめ
このように、重症化した歯周病では、炎症性物質などが子宮へと到達することで早産や低体重児出産などを引き起こすことがわかっていますので、今現在妊娠されている方やこれから妊娠予定の方は、歯周病の予防や症状のコントロールをしっかり行っていくことが大切です。鶴岡歯科医院では唾液検査、位相差顕微鏡などを用いてお口の中のリスクを調べる検査を行っております。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。