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矯正治療で顔の印象はどう変わる?認定医が解説

皆さん、こんにちは。鎌倉駅西口より徒歩3分の鶴岡歯科医院です。

矯正治療に興味はあるけれど、「顔の印象が変わってしまうのでは?」と不安に思われている患者さんは少なくありません。逆に「顔の印象が良くなるだろう」と期待されている方もいらっしゃいます。とくに成人矯正を検討されている方にとっては、見た目の変化が大きな決断要素になることもあるでしょう。本記事では、矯正治療で顔の印象は本当にどう変わるのか、変わりやすい歯並びの特徴、そして顔つきが変化しにくいケースについて、認定医の立場からわかりやすく解説します。

 

▼矯正治療による顔の印象の変化

 

はじめに、矯正治療を受けることで顔の印象がどう変わるのかについて解説します。

 

◎フェイスラインがすっきりとする

矯正治療では、単に歯を並べるだけでなく、上下顎骨の前後的・垂直的な関係や咬合平面の傾斜を整えることで、顎顔面のバランスが調和されます。とくに上下の歯列弓の位置関係が適正化されると、下顎の位置異常(後退や偏位)が補正され、咬筋やオトガイ筋などの顔面筋群の緊張バランスが改善されるため、フェイスラインが引き締まって見えるようになります。

 

「顎が小さい」「顎が引っ込んでいる」などの審美的悩みは、骨格的には下顎骨の後退(下顎後退症)や上顎前突などの顎位異常が関与しているケースが多く、歯列矯正を通じて骨格との調和がとれることで、自然で整った横顔へと変化することが期待されます。

 

◎口元の突出感が改善する

上顎前突や上下顎前突のように、前歯が唇側に傾斜している状態では、唇が常時押し出され、閉口時に口唇閉鎖不全(唇が閉じづらい状態)を呈することがあります。これは口輪筋の過緊張を招き、顔全体に不自然な緊張感を与える原因にもなります。

 

矯正治療によって前歯の傾斜角(前歯唇傾斜角)を改善し、歯列を後方に移動させることで、口唇閉鎖が可能となり、口元の緊張が緩和されます。この結果、横顔における**鼻・唇・顎のプロファイルライン(Eライン)**が整い、口元の突出感が軽減されて、穏やかで洗練された印象になるのです。

 

◎口呼吸から鼻呼吸への改善で輪郭が整うことも

とくに小児期の矯正治療においては、歯列や顎骨の位置だけでなく、呼吸様式の是正(口呼吸→鼻呼吸)も非常に重要な治療目標です。慢性的な口呼吸は、舌の低位化や口唇閉鎖不全、口腔周囲筋の筋力低下を引き起こし、アデノイド顔貌(長く平坦な顔貌)へと繋がることがあります。

 

矯正治療と併行して、MFT(口腔筋機能療法)や口唇閉鎖訓練を行うことで、口腔周囲筋が正常に働くようになり、頬部やオトガイ部の筋肉が引き締まってきます。これにより、顔面の輪郭や立体感が整い、年齢相応の健やかな顔貌発育が促されるのです。

 

◎顎のずれが改善され、左右対称の印象に近づく

歯列の不正(とくに交叉咬合や顎偏位)により、下顎の運動が制限され、顎位が左右どちらかに偏った状態(顎偏位)で安定してしまうと、顔貌の左右差が顕著になります。これは骨格の左右非対称性の形成にも繋がり、顔のゆがみを助長する要因となります。

 

矯正治療によって、咬合の中心が正中に一致し、左右の咬合バランスが整うことで、下顎の安静位(筋肉がリラックスしたときの位置)も正しい位置に戻ります。これにより、顎のシルエットや咀嚼筋の対称性が改善され、正面から見た顔立ちが左右均整に近づく効果が期待できます。

 

▼矯正治療で顔の印象が変わりやすい歯並び

次に、どのような歯並び・噛み合わせが矯正治療で顔貌に変化を与えやすいのかについて解説します。

 

◎出っ歯(上顎前突)

もっとも顔の印象が変わりやすいのが「出っ歯」のケースです。前歯が前方に突出していることで、唇が閉じづらくなり、口元が常に緊張した状態になります。矯正で前歯を内側に下げると、口元が自然に閉じられるようになり、笑顔や横顔の印象が大きく変化します。

 

◎受け口(下顎前突)

受け口は、下顎が前方に出ている状態で、顔全体に強い印象を与えやすくなります。顎の突出を伴う受け口の場合、矯正単独ではなく外科的矯正を検討することもありますが、比較的軽度のケースでは歯列矯正のみでも顔貌がソフトな印象に変化することがあります。

 

◎開咬(前歯が噛み合わない)

開咬の方は、前歯が噛み合わず、常に奥歯だけで噛んでいる状態になります。見た目では、口が常に開いているような印象を与えることが多く、口元の筋肉にも負担がかかります。矯正で開咬を改善することで、口元の閉じ方が自然になり、顔全体が引き締まって見えるようになります。

 

◎顎の左右非対称(交叉咬合)

交叉咬合とは、左右の歯の噛み合わせがずれている状態を指します。これが長年続くと、顎の成長にも偏りが生じ、顔の歪みが目立つようになります。矯正治療によって噛み合わせが整うことで、顎の筋肉が正しい位置でバランスよく動くようになり、顔の印象が左右対称に近づきます。

 

◎口元が前に出ている(上下顎前突)

上下の歯が全体的に前方に出ていると、唇が閉じにくく、常に緊張した印象になります。矯正治療により前歯を後方に移動させることで、口元が内側に収まり、フェイスラインが滑らかになります。

 

▼矯正治療で顔の印象が変わらないこともある

矯正治療では、すべてのケースで顔の印象が変わるわけではありません。とりわけ以下に挙げるケースでは、矯正治療で顔の印象が変わりにくいといえます。

 

◎骨格に起因する場合は変化が少ない

矯正治療は基本的に歯列と噛み合わせを整える治療ですが、顔の印象は骨格によって大きく左右されます。特に成人で顎の骨格そのものに強い前突や後退がある場合、歯の移動だけでは顔貌の劇的な変化は期待しにくくなります。そういったケースでは、外科手術を併用した外科的矯正治療が必要なこともあります。

 

◎小さな歯の移動では見た目に大きな変化は出ない

部分矯正などで前歯のみを少し整えるような治療では、顔の印象にはほとんど変化が出ないことが多いです。このようなケースでは「自然な仕上がり」「噛み合わせの改善」といった点に主眼が置かれ、顔貌の変化はあくまで副次的なものと考えられます。

 

◎表情や筋肉の癖が残っていると印象が変わらないことも

歯並びや噛み合わせが改善されても、表情のクセや舌の位置異常、口呼吸といった口腔周囲筋の習慣が残ったままだと、思ったような顔貌変化が得られないことがあります。とくに長年の悪癖は筋肉の使い方に影響するため、必要に応じてMFT(口腔筋機能療法)を併用することが効果的です。

 

▼まとめ

矯正治療は、単に歯並びを整えるだけでなく、顔の印象にも良い影響を与えることがあります。とくに出っ歯や受け口、開咬といった症例では、治療後にフェイスラインや口元がすっきりと変化し、見た目の印象が大きく向上することが期待されます。ただし、骨格性の問題や表情筋の癖などにより、顔貌の変化が限定的な場合もあります。

 

大切なのは、治療前に患者さんの希望やお悩みを丁寧に伺い、どの程度の変化が見込まれるかを正確にご説明することです。鶴岡歯科医院では、患者さん一人ひとりに合わせた矯正治療を提案し、安心して治療を受けていただけるようサポートしています。顔の印象が気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。