矯正治療中のスポーツと注意点〜安全に楽しむために〜|成人矯正専門サイト|鎌倉市の歯医者 医療法人社団Craile 鶴岡歯科医院

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矯正治療中のスポーツと注意点〜安全に楽しむために〜

皆さん、こんにちは。鎌倉駅西口より徒歩3分の鶴岡歯科医院です。

矯正治療を始めると、「スポーツをしても大丈夫?」と不安に感じる患者さんも多いかと思います。特にお子さんの場合、学校やクラブ活動などで運動が日常の一部になっている方も多いでしょう。矯正装置をつけた状態でもスポーツは続けられますが、注意すべき点もいくつか存在します。本コラムでは、「矯正治療中のスポーツと注意点」について、競技別にリスクや対処法、マウスガードの活用法、矯正による影響を受けにくいスポーツについて詳しく解説いたします。安心してスポーツを楽しむための参考になれば幸いです。

 

▼矯正治療中に注意が必要なスポーツ

 

◎サッカーやバスケットボールなどの接触競

サッカーやバスケットボールといった接触の多いスポーツでは、プレー中に相手選手やボールとの接触によって口元を強打する可能性があります。矯正装置がついた状態で顔をぶつけると、口腔内を傷つけるだけでなく、装置の変形や脱離が起こることもあります。また、ワイヤー矯正中の装置は唇や頬の内側に接触しやすいため、打撲時に出血を伴う粘膜損傷が起きやすいのも特徴です。こうした競技を行う際は、マウスガードの着用が特に推奨されます。

 

◎野球やソフトボールなどの球技

野球やソフトボールでは、ボールが顔面に当たるリスクがあります。特にピッチャーやキャッチャー、内野手は不意な打球に反応する場面も多く、顔面を直撃すると矯正装置ごと口腔内を損傷する可能性があります。ワイヤー矯正だけでなく、マウスピース矯正でも同様のリスクがあるため、キャップ型の防具だけでなくマウスガードを併用することで安全性が向上します。

 

◎柔道・空手などの格闘技

顔面への接触が不可避な格闘技系のスポーツは、矯正治療中に最も注意が必要です。相手の攻撃による衝撃で矯正装置が外れたり、口腔内に重大な外傷を負ったりする可能性もあります。とくに唇や歯茎、舌を巻き込んだ裂傷が問題となるケースもあります。

矯正治療中の格闘技は、競技レベルや試合参加の頻度によっては一時的に治療スケジュールを調整する必要もあるため、事前に歯科医師とよく相談してください。

 

◎ラグビー・アメリカンフットボール

ラグビーやアメリカンフットボールも激しい接触が多く、歯や装置を損傷するリスクが非常に高い競技です。ヘルメットやフェイスガードを装着していても、内部で口腔が損傷する可能性があります。特にマウスピースを装着していない状態でのプレーは避け、矯正中であっても適切にフィットするマウスガードを用いることが重要です。

 

▼矯正治療中はマウスガードを使用すると安全


矯正治療中にスポーツを継続するうえで、もっとも重要な安全対策のひとつが「マウスガード(マウスピース)」の装着です。マウスガードは、口腔への外的衝撃を緩和し、歯列や矯正装置、口腔粘膜を保護するための医療用保護具です。ラグビーや空手のような接触スポーツでは義務化されていることも多く、競技レベルにかかわらず広く使用が推奨されています。

 

特に矯正装置を装着している状態では、外傷を受けた際に装置が歯肉や頬粘膜、舌などの軟組織を傷つけやすく、通常よりも重篤な裂傷や出血を引き起こすリスクがあります。適切なマウスガードの使用により、これらのリスクを大幅に軽減することが可能です。

 

◎矯正専用マウスガードの特徴と必要性

市販のマウスガードは、完成された歯列を前提として設計されており、矯正治療中の歯列や装置にはフィットしづらいという問題があります。装置がワイヤーであればその出っ張りが干渉し、マウスピース矯正中であっても歯の移動が継続的に起きるため、適合性が悪化するおそれがあります。このような状態で不適切なマウスガードを使用すると、矯正装置を圧迫して破損させる、歯の動きを妨げる、さらには口腔内を圧迫して不快感や咬合異常を招くこともあります。

 

矯正治療中の方には、歯の移動や装置の構造を考慮した「矯正専用のマウスガード」を使用することが推奨されます。これらは装置の厚みや位置を反映して設計され、適度なスペースを保ちつつ、歯列の変化にも対応できるよう柔軟性を持たせてあります。口腔粘膜や歯根膜への過度な圧力を避ける設計となっており、治療の妨げにもなりにくい構造です。

 

◎歯科医院で製作するオーダーメイドマウスガードのメリット

矯正装置に適合するマウスガードは、既製品では対応が難しいため、歯科医院でのオーダーメイド作製がもっとも安全かつ快適です。当院でも、患者さん一人ひとりの口腔内の状況に応じたマウスガードの作成を行っております。型取りを行うことで、装置の形状や歯の動きに合わせた設計が可能となり、ズレにくく、会話や呼吸の妨げにもなりにくい高い適合性を実現できます。

 

また、オーダーメイドのマウスガードは素材の選択肢が広く、強度や柔軟性、厚みなどを競技種目に応じて調整することができます。たとえば、強い衝撃を受けやすい格闘技では厚めの多層構造を、発話や呼吸が重視される競技では薄型で通気性に優れたタイプを選択するなど、カスタマイズの幅が広いのも特徴です。

 

◎歯科医師との相談が治療の安全につながる

マウスガードの使用は、矯正治療中の安全対策であると同時に、矯正治療そのものの成功率にも関わってきます。誤った装着や不適合なマウスガードにより、歯の移動が意図しない方向にずれたり、装置が破損したりして治療が遅延するケースも報告されています。

 

そのため、スポーツを継続している患者さんには、治療計画の段階から歯科医師と十分に相談し、必要に応じて定期的にマウスガードの調整や再作製を行うことが望まれます。特に成長期のお子さんの場合は、歯の動きが大きいため、数ヶ月おきのチェックが重要です。

 

▼矯正による影響を受けないスポーツは?

矯正治療中であっても、口腔内に大きな衝撃が加わらないスポーツであれば、通常通り楽しむことが可能です。以下は比較的安心して取り組めるスポーツの一例です。

 

◎水泳

水泳は顔に直接的な衝撃が加わることが少ないため、矯正治療中でも安心して取り組めます。ワイヤー装置の場合は、プールの塩素成分による金属の腐食や変色に注意が必要ですが、通常の使用範囲であれば大きな問題はありません。

 

◎陸上競技・マラソン

陸上や長距離走などの競技は、他選手と接触する場面がほとんどなく、矯正装置に対して物理的な負荷がかかりにくいのが特徴です。ただし、激しい運動によって口の中が乾燥しやすくなるため、むし歯や歯肉炎のリスクが上がる点には注意が必要です。水分補給やこまめな歯磨きで対策を行いましょう。

 

◎ダンス・体操・ヨガ

これらの競技も、基本的には自分の身体をコントロールする動作が中心であり、顔に外力が加わる可能性は低いといえます。特にヨガなどの静的な運動であれば、装置のトラブルもほとんど起こりません。

 

◎卓球・バドミントン・テニス

これらのラケット競技は球速があるものの、比較的口元への衝撃が少ないとされています。ただし、ダブルスや混戦時は不意にラケットがぶつかる可能性もあるため、状況に応じてマウスガードの使用を検討すると良いでしょう。

 

▼まとめ

矯正治療中であっても、スポーツを安全に楽しむことは十分可能です。ただし、接触のある競技や顔面に衝撃が加わるリスクが高いスポーツに関しては、装置の破損や口腔内のケガにつながることもあるため注意が必要です。特にワイヤー矯正中の方は、口腔内の粘膜が装置に引っかかりやすく、外傷リスクが高まります。

そのため、マウスガードの着用は非常に効果的な予防策です。当院では、患者さんの矯正装置や噛み合わせに合わせたマウスガードの作成も行っております。

 

矯正治療中のスポーツは制限ではなく、「工夫しながら楽しむ」ことが大切です。心配な方は、ぜひ一度、鶴岡歯科医院までご相談ください。皆さまが安全にスポーツと治療を両立できるよう、丁寧にサポートいたします。