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【矯正の痛み対策】我慢できる?痛みの原因と即効緩和法を徹底解説

皆さん、こんにちは。鎌倉駅西口より徒歩3分の鶴岡歯科医院です。

矯正治療に興味はあるけれど、「痛みに耐えられるか不安…」という声を多くいただきます。実際、矯正治療中に痛みを感じる方は少なくありません。しかし、その痛みには必ず「原因」があり、きちんと「対策」を講じることで、十分に緩和・予防することが可能です。本コラムでは、矯正の痛みのメカニズムから、すぐにできる緩和法、痛みを最小限にする予防策まで、専門的な視点からわかりやすく解説します。矯正治療を前向きに始めるための一助となれば幸いです。

 

▼矯正治療に伴う痛みの原因

矯正治療ではさまざまな痛みが生じますがその原因としては以下の3つが挙げられます。

 

◎歯が動く際の炎症反応

矯正治療中の痛みの主な原因は、歯の移動にともなう「歯根膜(しこんまく)」の炎症です。歯は歯槽骨(しそうこつ)という骨の中に埋まっており、その間を歯根膜という0.2mmほどの薄い膜がクッションのように支えています。矯正装置によって歯に持続的な力が加わると、歯根膜の一部が圧迫されて血流が一時的に低下します。これにより局所的な「虚血(きょけつ)」状態が生じ、さらに代謝産物が蓄積することで炎症反応が引き起こされ、痛みや違和感が生じるのです。

 

この炎症反応は細菌感染とは異なり、一定時間が経過すると自然に鎮静化していきます。特に矯正装置の調整後やマウスピースの交換後の24〜72時間は痛みのピークとなりやすく、この期間は食事や会話の際に痛みを感じる患者さんが多くいらっしゃいます。

 

◎矯正装置による粘膜の機械的刺激

矯正装置は、口腔内の粘膜にとっては「異物」となるため、常に接触や摩擦が生じる状態となります。特にワイヤー矯正では、ブラケットやワイヤー端部が頬や唇、舌の粘膜に接触しやすく、物理的な刺激により「外傷性口内炎」や小さな潰瘍ができることがあります。口腔内粘膜は常に湿潤状態にあるため傷の治癒が遅れがちで、同じ箇所が繰り返し擦れることで慢性的な不快感や痛みに発展することもあります。これにより食事や会話が苦痛になってしまうケースもあるため、粘膜保護のためのワックスや保護材の使用が効果的です。

 

マウスピース矯正においても、アライナー(マウスピース)の縁が歯ぐきや頬粘膜を刺激することで軽度の違和感を伴うことがありますが、ワイヤー矯正に比べると粘膜刺激は少ない傾向にあります。

 

◎歯並びの状態や治療計画による影響

矯正治療の痛みの強さには個人差があり、それは歯並びの状態や治療計画の内容にも大きく左右されます。たとえば、重度の叢生(そうせい:歯が重なり合って並んでいる状態)や前歯の突出(出っ歯)、開咬(かいこう:前歯が閉じない状態)などでは、歯の移動距離が長く、歯根膜への負荷も大きくなりやすいため、痛みが強く感じられる傾向にあります。

 

また、抜歯を伴う矯正では、抜歯スペースを閉じるために隣接する歯を移動させる必要があります。この「空隙閉鎖(くうげきへいさ)」の過程では、歯列全体に牽引力が加わるため、一定期間は痛みを伴う可能性が高まります。

 

さらに、急激に歯を動かす治療方針は、歯周組織や歯根への負担が大きく、痛みだけでなく「歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」という副作用のリスクも伴います。そのため、痛みのコントロールと歯の健康を両立させるためには、適切な力で段階的に歯を動かす「生理的な矯正力」の設定が重要です。

 

 

▼矯正の痛みを緩和・対策する方法

矯正の痛みを和らげる方法や対策する方法としては、以下の5つが挙げられます。

 

①市販の鎮痛薬の活用

矯正による痛みが強い場合、一般的な市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやロキソプロフェンなど)を服用することで、炎症や痛みを効果的に抑えることができます。ただし、自己判断で過剰に服用するのは避け、服用前には医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

 

②柔らかい食事を心がける

痛みがあるときは、無理に硬いものを噛もうとせず、できるだけやわらかい食事に切り替えましょう。おかゆ、スープ、煮込み料理、ヨーグルトなどが適しています。特に矯正器具の調整後は、食事内容を一時的に工夫することで痛みを最小限に抑えることができます。

 

③冷やすことで炎症を鎮める

痛みが強い場合、口の外側から頬を冷やすことで、患部の血管が収縮し、炎症による痛みを和らげることができます。氷嚢や冷たいタオルを使用する際は、長時間の冷却を避け、皮膚を傷めないようタオルなどで包んで使用してください。

 

④口内炎や傷には保護ワックスを活用

ワイヤー矯正などで口の中に傷ができてしまった場合は、装置に専用の矯正用ワックスをつけることで、粘膜との接触を和らげることができます。ワックスは市販でも購入できますが、当院でもご用意しておりますので、ご希望の方はスタッフまでお申し付けください。

 

⑤無理せず歯科医院に相談を

痛みが数日たっても強いままの場合や、ズキズキと脈打つような痛み、出血を伴う症状がある場合は、単なる矯正による痛みではない可能性があります。むし歯や歯周病、装置の不具合などが原因となっていることもあるため、早めに歯科医院へご相談ください。

 

▼矯正の痛みを予防する方法

矯正に伴う痛みは、以下の方法で予防的に対処することも可能です。

 

①段階的に弱い力で進める矯正を選ぶ

当院では、患者さんの負担を最小限にするために、歯にやさしい力でゆっくりと動かす矯正治療を基本としています。強すぎる力は歯や骨に過度な負荷をかけ、痛みを強くするだけでなく、歯根吸収などのリスクも高まります。無理のない治療計画が、痛みの予防にもつながります。

 

②お口の中を清潔に保つ

矯正中は装置に食べ物が詰まりやすく、口腔内が不衛生になりがちです。むし歯や歯周病を予防するためにも、歯みがきやフロス、歯間ブラシなどを使って丁寧なケアを心がけましょう。お口の中の炎症を防ぐことで、痛みの発生リスクも抑えることができます。

 

③定期的なメンテナンスを受ける

矯正治療では、歯の動きや装置の状態を確認するために、定期的な通院が欠かせません。ワイヤーの調整やマウスピースの確認を行いながら、過剰な力がかかっていないか、口内炎ができていないかなどをチェックします。問題が小さいうちに対処できれば、痛みの悪化も防げます。

 

④ストレスをためない生活を意識する

意外と見落とされがちなのが、ストレスによる痛みの悪化です。ストレスがたまると、痛みの感受性が高くなり、同じ刺激でも強く痛みを感じるようになります。適度な運動や入浴、趣味などでリラックスし、心身ともに健康な状態を保つことも矯正の痛み対策の一つです。

 

▼まとめ

今回は、矯正治療に伴う痛みの原因と緩和方法について解説しました。矯正治療に伴う痛みは、多くの患者さんが経験する一時的な症状ですが、その「原因」を理解し、適切な「対策」と「予防法」を知ることで、快適に乗り越えることが可能です。当院では、患者さん一人ひとりの負担を減らしながら、安心して治療を続けていただけるよう、細やかなサポートを行っております。もし、矯正の痛みに関して不安やお悩みがありましたら、どうぞお気軽に鶴岡歯科医院までご相談ください。患者さんの健やかなお口づくりを、私たちが全力でサポートいたします。