皆さん、こんにちは。鎌倉駅西口より徒歩3分の鶴岡歯科医院です。
お子さんの歯並びについて、「いつから小児矯正を始めたらいいの?」「遅すぎたらどうしよう」と悩まれていませんか?小児矯正の開始時期は、お子さんの成長段階や歯並びの状態によって異なります。早すぎても遅すぎても良いとは言えず、最適なタイミングを見極めることが重要です。本コラムでは、小児矯正(1期治療・2期治療)の開始時期について詳しく解説し、迷ったときにどうすべきかについてもご紹介します。
▼小児矯正(1期治療)を始めるタイミング
はじめに、小児矯正の1期治療をいつから始めるべきかという疑問にお答します。
◎1期治療とは?
小児矯正の「1期治療」とは、主に6歳~10歳頃の混合歯列期(乳歯と永久歯が混在している時期)に行う矯正治療です。この時期は顎の骨の成長をコントロールしながら、将来的な歯並びの改善を図ることが可能なタイミングです。
1期治療の目的は、永久歯が正しく生えるためのスペースを確保したり、顎のバランスを整えたりすることです。成人になってからの矯正では難しい「成長を利用した治療」ができる点が大きな利点です。
◎観察の目安は5歳~6歳
矯正治療の検討は、早ければ5歳頃から始めるのがおすすめです。この時期から定期的な経過観察を行うことで、問題が早期に発見されれば、最適なタイミングで治療を開始できます。特に以下のような兆候が見られる場合には、早めに歯科医師に相談しましょう。
・前歯のすき間が極端にない、または開いている
・反対咬合(受け口)
・上顎前突(出っ歯)
・交叉咬合(上下の歯が横にずれている)
◎6〜8歳でスタートするケースが多い
1期治療の開始時期として最も多いのは、6〜8歳です。この時期には前歯の永久歯が生え始め、乳歯が徐々に抜けていくため、歯並びの異常が目立ちやすくなります。また、まだ顎の骨が柔らかく、成長を誘導しやすいため、治療効果も高くなります。
◎プレオルソ・ムーシールド・床矯正などの装置を活用
この時期に使われる装置には、プレオルソ(機能的マウスピース型矯正装置)やムーシールド(反対咬合専用マウスピース)、床矯正装置(取り外し可能な装置)などがあります。いずれもお子さんの負担が少なく、日常生活への支障も比較的少ないことが特徴です。
▼小児矯正(2期治療)を始めるタイミング
続いては、小児矯正の2期治療はいつから始めるべきという疑問にお答えします。
◎2期治療とは?
「2期治療」は、永久歯がすべて生えそろう中学生頃から開始される本格的な矯正治療です。乳歯がすべて抜け、永久歯が生えそろった状態(永久歯列期)に移行してから行います。この段階では、すでに顎の成長はある程度完了しており、歯の移動を精密にコントロールして理想的な歯列・噛み合わせを目指します。
具体的には、ワイヤー矯正(マルチブラケット装置)やマウスピース型矯正装置(インビザライン・ティーンなど)を使用して、歯の3次元的な移動を行います。歯軸の傾き、回転、挺出・圧下といった複雑な動きにも対応可能で、審美性だけでなく機能面にも配慮した治療が可能です。
1期治療を行っていたお子さんでも、歯並びの仕上げや微調整のために2期治療が必要になることがあります。これは、1期治療が「骨格の誘導」や「萌出スペースの確保」など、土台作りに重きを置いた治療であるためです。
◎永久歯が生えそろう12歳頃が目安
2期治療の開始時期は、上下すべての永久歯が萌出したタイミングが目安となります。一般的に12歳前後がその時期にあたりますが、個人差があるため口腔内の成長段階を正確に把握することが大切です。
このタイミングで重要なのは以下のポイントです:
・犬歯(側方歯群)の位置異常がないか
・前歯部の叢生(がたがた)が残っていないか
・臼歯部の咬合関係(上下の噛み合わせ)が適正か
・親知らずの萌出方向・スペースが確保されているか
特に犬歯は歯列のアーチを維持する上で重要な役割を担っており、犬歯の位置異常は咬合不正や歯列全体の崩れにつながります。1期治療で顎の幅や前後的なバランスが整えられていれば、非抜歯での2期治療が可能となるケースが多くなります。
また、骨格的な問題(骨格性上顎前突や下顎劣成長など)がある場合には、12歳以降でも成長予測や骨格診断をもとに矯正計画を練る必要があります。
◎1期治療をしていない場合の2期治療
1期治療を受けずに2期治療から開始するお子さんも少なくありません。とくに歯列の乱れが軽度で、顎の骨格に大きな異常がない場合には、2期治療だけで十分に対応可能なこともあります。
しかし、以下のようなケースでは注意が必要です:
・叢生が強く、歯の並ぶスペースが不足している場合
・上顎前突や反対咬合など骨格性の問題がある場合
・舌癖や口呼吸など、機能的な問題が歯並びに影響している場合
これらの場合には、すでに骨格の成長が終了していることから、スペース不足を補うために抜歯を伴う矯正治療が選択されることがあります。また、機能的な問題を放置したまま矯正を行うと、歯列の安定性に欠け、後戻りのリスクが高まることにも注意が必要です。
近年では、CTやセファログラム(頭部X線規格写真)などの精密な検査を行い、骨格と歯のバランスを数値化して診断する「セファロ分析」に基づいた矯正診断が主流となっています。これにより、治療方針の予測性や安全性が高まっています。
▼小児矯正をいつから始めるか迷ったら
最後に、小児矯正はいつから始めるべきか迷っている方に向けて、矯正相談を受けることの重要性をお伝えします。
◎親御さんだけで判断せず、認定医に相談を
小児矯正の「いつから始めるべきか」は、お子さんの歯並び・噛み合わせの状態や成長の進み具合により個人差が大きいため、一概に「○歳から」と決めつけることはできません。そのため、歯科矯正を専門とする「日本矯正歯科学会 認定医」などの資格を持つ歯科医師に一度ご相談いただくことをおすすめします。認定医は豊富な臨床経験に基づいた判断で、お子さんにとって最適な治療開始時期を提案できます。
◎早期相談は、治療の選択肢を広げる
早い段階で歯科医院に相談することで、必要に応じて経過観察から始めることができ、無理のないタイミングで治療に入ることが可能です。逆に、相談が遅れてしまうと、選択肢が限られたり、抜歯が必要になったりすることもあります。
当院では、矯正の認定医が在籍しており、小児矯正の無料相談も実施しています。お子さんの歯並びで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
▼まとめ
小児矯正を始めるベストなタイミングは、お子さん一人ひとりの歯並びや成長の状態によって異なります。1期治療は6〜8歳頃に、2期治療は12歳前後が目安ですが、それぞれの開始時期は専門家の判断が欠かせません。「いつから始めればいいのか分からない」「他の子と比べて歯並びが気になる」と感じたら、早めに矯正認定医の診察を受けましょう。早期相談は、将来的な治療負担を軽減し、お子さんの健やかな成長と美しい笑顔を守るための第一歩です。鶴岡歯科医院では、矯正認定医による丁寧なカウンセリングを行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。